『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』

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エドワード・ヤン監督
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』を観てきました。


1991年制作。1950年代末期~1960年代の激動の時代の台湾を舞台に、実際に起きた事件を元に作られた映画です。


全体に暗くて霞がかかったような闇と光の世界。


懐中電灯の光。
ろうそくの灯り。
自然光。
見下ろしたスタジオにかかる影。
暗闇から放たれるバスケットボール。
刃物の輝き。
闇の中の乱闘。
見えない殺人や救出。


ハニーの存在や出で立ちはマンガのよう。


少女の奔放さもあり、人が多くて人間関係を理解するのに時間がかかってしまったけれど、たっぷり4時間、少年たちの閉塞感、不安や友情や恋愛、闘争、家族が描かれていて、飽きずに映画に浸りました。


厳しい話だけど、リトル・プレスリーには救われました。歌声も素晴らしい。


闇の中の光の美しさ。
というか、むしろ、闇。
私はそれにすっかりやられてしまったのでした。


一生懸命、強く強くこの映画を薦めてくれた先輩に感謝。

川崎市岡本太郎美術館

行ってきました。


平日の閉館間際ということもあり、ほぼ貸切状態で見ることが出来ました。


まず常設展「岡本太郎―赤の衝動―」から。


岡本太郎にとって赤は炎や太陽、血、そして命の色だった」
その言葉通りの、燃えて生きている熱い赤。
目に飛び込み焼き付いて、問われているような。


熱くて、強くて…先日行ったHEATWAVEのライブで山口洋さんがジョー・ストラマーに言われたと話していた「お前の心の中にある火を絶やすんじゃない。」という言葉を思い出しました。


心の中にある火というのは今回の常設展のタイトルにもある「衝動」とも言えるかも。
真っ直ぐ受け止めて深く考えるのには力がいるけど、生きようとしているうちは多分大丈夫なのだろう…と勝手に解釈。


一部撮影が可能な所に椅子があり、本当に可愛すぎました。


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ひもの椅子。普通に欲しい。



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手の椅子。



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駄々っ子。



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こちらの《坐ることを拒否する椅子》は、拒否すると言いながらも、座りにくそうでも座れるのは「優しい」と思いました。


以前、2つの椅子が絡まってる椅子を見たことがあるけど、絶対に1人しか座れない構造になってて、2つ椅子があるのに1人しか座れないという状況に悲しくなったので。誰の作品かもタイトルも忘れたけど。


そして企画展「岡本太郎×建築」。
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今日は南武線に用事があり、乗り換えの登戸駅で見かけたこのポスターにアントニン・レーモンドの名前を見つけたので用事のあと思わず行ってしまったのですが、アントニン・レーモンドと岡本太郎が仕事してたんですね。全然知らなかった。


アントニン・レーモンドが設計したデップス邸茶室で、岡本太郎が浴室のバスタブと壁面を構成したとのこと。
二人の図面、デザインスケッチ、ドローイング、奥様のノエミ・レーモンドのイラスト等々、だいぶ面白かったです。


仕事は一度きりだったけど、プライベートでは親しくされていたらしい。


イタリア大使館日光別邸が奥日光でも特に大好きな場所なのですが、あの場所から岡本太郎との接点は見出だしていなかったです。でも言われてよく考えてみれば、二人とも絵画に限らず、建築に限らず、色んなジャンルの作品を手掛けてるから、分かり合える部分も多くあったのかも。


他、印象的だったもの一部メモ。


坂倉準三のコーナーにあったモザイクタイル画。
丹下健三コーナーにあった、犬や子供が反応したという焼き物の犬のオブジェ。
磯崎新の、「岡本太郎展」の会場を闇にしてしまえ、《坐ることを拒否する椅子》を宙に浮かしてしまえというコンセプト。
「マミ会館」の模型。
明日の神話
《ふたたび廃墟になったヒロシマ
太陽の塔》等。


それから建築関係の展覧会だと、模型が沢山あるのがすごく楽しい。



時間が無さすぎてカフェにも行けず生田緑地も通っただけでしたが、またの機会に。

「ひとりでどこまで出来るか」

約15年来の友人のライブに行く。
見たのは久しぶりだったけど、今日はいつにも増して自分をさらけ出すライブをしていて、凄いなあと思う。

自分をさらけ出すというのは凄く難しいと思うのだけど、世の中にはそれを容易く(かどうかは分からないけど)出来てしまう人がいて、羨ましく思ったりもする。

気取ってても仕方ないのに気取っちゃってるから、表現してるくせに自分をさらけ出せないんだと思うしそこが自分の一番ダメな所だと思っているので、やり切るし言い切る!という彼のスタイルにはいつも刺激を頂く。

詞の世界観も、重いけど決して陰鬱ではなく興味深いです。
お疲れ様でした!



彼の友人の美女に急になついていただき、面白かった。またお会いしたいです。

それから、彼の前に歌っていた方の「音楽の神様」の歌が心に響いてしまった。

お店の方たちも、その場にいた方たちも、皆さん良い方ばかりだった。

最近、良い人にしか会ってないな……
そう姉に言ったら、「普通はなかなか無い」と言われた。

良く考えたら、確かに「普通はなかなか無い」は正解なんだと思う。
でも本当に良い人にしか会ってないと思う。


何だか怖いぞ。気を付けなくちゃ。

今月分。

暗闇でいつものセッション。
迷いを捨てねばと反省したところなのに……と音を出しているときは思っていたけれど、終わって聞いてみたら、今日は迷いが見えなかったらしい。分かりやすいアプローチに聞こえていたらしい。
スピードも全体的に早すぎたかと思ったけど、別にそうでもなかったらしい。
自分では迷いが一杯あったのだけど、そういう事もあるらしい………

まあ、それは良かったことではあるけど、出したい音の半分でも出せたらもっとずっとずっとキモチイイ事を知ってる。
最近になってみんな外に出たがってきたし、どんどん音も変わってきたし、あんまりのんびりもしていられなくなってきた。音を引っ張らなきゃならないのに、足を引っ張ってる場合じゃないです。ヤバし。

反省会では、ビールと、志賀高原のワイナリーで3カ月だけ作られている日本酒、火が入るまでスモークした固まりのスモークサーモン、ロディジャーノ、パヴェ・ドゥ・ノー、ナッツ等など。

音楽とお酒と食べることが好きな人たち。
いつも思うけど、ありがたい。頑張ります。

HEATWAVE@duo MUSIC EXCHANGE

急きょ行けることになり、ギリギリで初めて参戦してきました。

ギター&ヴォーカルの山口洋さんは、めちゃめちゃダンディな色気のある方で、ギター数本とブズーキを次々と持ちかえて、掻き鳴らし、歌い、叫び、語りかけ、メンバーの方を煽ったり促したりしながらその場にいるの全ての人をひとつにしていました。

ストレートなロックンロール。
ストレートなメッセージ・ソング。
この感じ。初めて聞くのに懐かしい。
湿度を持って重く深く考えさせらるような歌。
心に力を与えてくれるようなライブでした。


満月の夕、沁み入りました…


また近いうちに、是非!

シプリアン・カツァリス ピアノ・リサイタル~鍵盤の魔術師が奏でるシューベルトの世界~@日経ホール

長年憧れていましたが、やっと行くことが出来ました。

特に忘れられないのが、鍵盤に軽く触れているだけのような、微かな音の美しさ。

難解な譜面に超絶技巧で更に音を足して、一人で演奏してると信じられない状態になっているうえ、どこまでも詩的でどこまでも優しい微音が主旋律の後から後から流れるようについてきて。

メインプログラムのシューベルトだけでなく、オープニングの即興、アンコールではシャンソン等のフレンチ・ソング・メドレー(「枯れ葉」「シェルブールの雨傘」「男と女」「La vie en rose」他)、ノクターン、カツァリス作の1曲まで、夢のようなひとときでした。

どうしたらあんなに美しい音が出せるんだろう………
素晴らしすぎました、カツァリス様。

ウッディ・アレン最新作。

「カフェ・ソサエティ」見てきました。
女優さんや衣装がすごくキレイ!
ポップで、オシャレで、ロマンチックで、ちょっと痛みがありました。

ラストはあそこで終わらせたことが「夢」なのかな、と思う。



ウッディ・アレンは、今になってこういう映画を撮るんだなあ。


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特別展「雪村ー奇想の誕生」

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特別展「雪村ー奇想の誕生」@東京芸術大学大学美術館に行ってきました。

雪村の絵は、ユーモラスで、何だか可愛らしかった
です。
何故か、女性よりも、布袋さんとかおじさんとか動物の方が楽しく描いている感じ。

伸びをしてる布袋さんとか、何故か自分の袋を踏んづけてはしゃいでる布袋さんとか、子供にのし掛かられてよっこらしょ、と背中を向けてる布袋さん。
安らぐ。なんて平和。

強風も多く描かれていた。
水の風、山の風。
あとは、波、龍、動植物、山間の家屋、等々。


86才までは現役で作品を描いていたというから、その当時としては随分長生きだったでしょうね。

生きていた時代は戦国時代の頃だったはずだから、世の中そんなに穏やかなはずがないと思うけど、何故こんなに穏やかなんだろう。
歴史に疎いし調べてないので分かりませんが、ちょっと興味が出たかも。そのうちに調べてみよう。

気になるところがいくつか。
「本来は2倍の大きさだった画面を縮めて再構成しているからです。」と解説された屏風絵は、何故縮められてしまったんだろう。何のために。

それから、李白の絵の解説に、詩人には見えない、サンタクロースのよう、というのは何だかどっちにも失礼な気がしました。自由過ぎ。

まあチラシを見ても、最近の展覧会にありがちなユルい感じだったので、解説もユルかったのかもしれませんね。

とはいえ、リラックスして、「バベルの塔」展で得体の知れないものを沢山見てちょっと回っていた毒がすっかり抜けました(笑)
良かった。

ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔 」展

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ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲルバベルの塔 」展@東京都美術館、見てきました。


なんという細やかさ。
レンガを運ぶ仕掛けや、レンガが落下した破片。
そして周囲の風景や港。
役割を持たせ配置し全体に描き込まれた絵の中で働き、暮らす約1400人もの人々。
細かすぎ!
細かくて、壮麗で、壮大で、色も鮮やかで。
ずーっと見ていられるけど、近くで見たかったら足を止めてはいけない仕様になっていたので、ぐるぐると何周もしてしまいました。


比較的大きな螺旋の建造物、グッゲンハイム美術館では、中にいたらちょっと酔った。バベルの塔くらい大きな建造物だったらどんな気持ちになるんだろう。小人になって中に入ってみたいと思いました。


バベルの塔を堪能してから最初に戻りまして。


「枝葉の刺繍の画家」という画家の絵が2枚。
《聖カタリナ》と《聖バルバラ》。
二人とも美人。
そして、作者の名前を決定付けた枝葉の刺繍のドレスがどちらも本当に色も刺繍も美しくてうっとり。
誰か再現してくれないだろうか。着てみたい。


ハンス・メムリンク《風景の中の2頭の馬》。
白馬と栗毛の馬。そして白馬には黒い猿か赤ちゃんみたいな何かが乗っていて、その乗っている何かについては題名では何も語られていない。
どういう意味があるんだろう、、、


ボスの絵が2枚も来ていてミステリアスでした。


《放浪者(行商人)》の、屋根の水差し、鳩小屋、白鳥の看板もこの建物が娼館であることを意味しているらしい。放浪者の男の荷物には猫の毛皮がぶら下がっていたり、胸元から何かの足が出てたり、靴の片方はスリッパだったりもするし、何かまともな決まったものを売っている訳でも無さそう。
見れば見るほど謎めいた絵。


《聖クリストフォロス》の子供がキリストらしい。
水差しが木上にあり、中から男が顔を覗かしている。
刺されて吊るされた熊、廃墟の怪物、小さな老婆。
老婆が一番気持ち悪かった。
全部の大きさのバランスがすごく気持ち悪い。
解説を読んだけど、他にも色んなものが描きこまれていた。何を暗示してるんだろう。


ボスに基づく絵や、フリューゲルスの版画もあり、不思議なものや怖いもの、気持ち悪いものも沢山見ました。面白いけど怖い。


今回の展覧会の絵は、その年代の今まで見たことのあるオランダの絵とは比べ物にならないくらい、どれも本当に色も鮮やかでびっくりしました。


そういえば大友克洋バベルの塔の内側はどこにあるのかな。と思ったら、入場制限がかかっていたら必ず通ると思われる、入口左手のスペースにありま
した。見落とすところだった。


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大友克洋《INSIDE BABEL》。
先程まで、中に入ってみたいと思いながら見ていたバベルの塔の内側が、本当にあのバベルの塔の内側はこうなってるんじゃないかと思えるくらい、自然に詳細に描かれていて最高!
大友克洋と、バベルの塔の精密さ、確かに共通点が感じられますね。素晴らしい。


聖書なんて滅多に開かないけど、久しぶりに創世記を読み返したくなって開いています。


開催中にまた行っちゃうかも。
でもきっとどんどん混んでいくんだろうなあ。


ゆっくり見れて良かった。

ぽんこつ

2日間で、大きな米袋12袋分の雑草を刈り、筋肉痛に筋肉痛が重なって、現在よれよれのぽんこつです。
もうあれ以上は頑張れない位頑張ったので終わらなかったけど達成感はありました。


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榎に何か住み着いていたらしい。反対側を見たらいくつも穴が増えていた。何だろう。テンか、鳥かな?




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一年中紅葉している紅葉。




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草取りをして梅の古木に近付けるようになり、よく見ると、今年は沢山実を付けていました。偉い。




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枇杷が育っていました。小さい。




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家の向かいの木に自生した猿の腰掛け。




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咲く気配も無かったのに、今日、いきなり咲いた、漱石の小説のタイトルにもなっている虞美人草
ひなげし、コクリコ、アマポーラ、ポピー。
色んな呼び名があるそうです。美しい。
帰るまでに間に合って良かった。




そして、東京戻り前に来ればと言われたので、先輩の店に寄り道。
ちゃんとしたライブ日ではなく、リハーサル日だった。
鈴木茂トリビュートライブやるらしい。
はっぴいえんどの「花いちもんめ」は大好きな曲。
「夏なんです」もとても好きだけど、あれは細野さんの曲なのでやってなかった。

鈴木茂さんの曲はどれも難しそうだけど、楽しそうで何より。

店を出て、自分が吸ってもいないのにタバコ臭くなってる感じはすごく久しぶりな気がする。
止めれば良いのにとは思うけど、この感じもまた懐かしい。