ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔 」展

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ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲルバベルの塔 」展@東京都美術館、見てきました。


なんという細やかさ。
レンガを運ぶ仕掛けや、レンガが落下した破片。
そして周囲の風景や港。
役割を持たせ配置し全体に描き込まれた絵の中で働き、暮らす約1400人もの人々。
細かすぎ!
細かくて、壮麗で、壮大で、色も鮮やかで。
ずーっと見ていられるけど、近くで見たかったら足を止めてはいけない仕様になっていたので、ぐるぐると何周もしてしまいました。


比較的大きな螺旋の建造物、グッゲンハイム美術館では、中にいたらちょっと酔った。バベルの塔くらい大きな建造物だったらどんな気持ちになるんだろう。小人になって中に入ってみたいと思いました。


バベルの塔を堪能してから最初に戻りまして。


「枝葉の刺繍の画家」という画家の絵が2枚。
《聖カタリナ》と《聖バルバラ》。
二人とも美人。
そして、作者の名前を決定付けた枝葉の刺繍のドレスがどちらも本当に色も刺繍も美しくてうっとり。
誰か再現してくれないだろうか。着てみたい。


ハンス・メムリンク《風景の中の2頭の馬》。
白馬と栗毛の馬。そして白馬には黒い猿か赤ちゃんみたいな何かが乗っていて、その乗っている何かについては題名では何も語られていない。
どういう意味があるんだろう、、、


ボスの絵が2枚も来ていてミステリアスでした。


《放浪者(行商人)》の、屋根の水差し、鳩小屋、白鳥の看板もこの建物が娼館であることを意味しているらしい。放浪者の男の荷物には猫の毛皮がぶら下がっていたり、胸元から何かの足が出てたり、靴の片方はスリッパだったりもするし、何かまともな決まったものを売っている訳でも無さそう。
見れば見るほど謎めいた絵。


《聖クリストフォロス》の子供がキリストらしい。
水差しが木上にあり、中から男が顔を覗かしている。
刺されて吊るされた熊、廃墟の怪物、小さな老婆。
老婆が一番気持ち悪かった。
全部の大きさのバランスがすごく気持ち悪い。
解説を読んだけど、他にも色んなものが描きこまれていた。何を暗示してるんだろう。


ボスに基づく絵や、フリューゲルスの版画もあり、不思議なものや怖いもの、気持ち悪いものも沢山見ました。面白いけど怖い。


今回の展覧会の絵は、その年代の今まで見たことのあるオランダの絵とは比べ物にならないくらい、どれも本当に色も鮮やかでびっくりしました。


そういえば大友克洋バベルの塔の内側はどこにあるのかな。と思ったら、入場制限がかかっていたら必ず通ると思われる、入口左手のスペースにありま
した。見落とすところだった。


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大友克洋《INSIDE BABEL》。
先程まで、中に入ってみたいと思いながら見ていたバベルの塔の内側が、本当にあのバベルの塔の内側はこうなってるんじゃないかと思えるくらい、自然に詳細に描かれていて最高!
大友克洋と、バベルの塔の精密さ、確かに共通点が感じられますね。素晴らしい。


聖書なんて滅多に開かないけど、久しぶりに創世記を読み返したくなって開いています。


開催中にまた行っちゃうかも。
でもきっとどんどん混んでいくんだろうなあ。


ゆっくり見れて良かった。