CS 日本映画専門チャンネルで、1982年のドラマ「君は海を見たか」が放送されています。
「北の国から」と同じ、倉本聰脚本、杉田成道、山田良明演出によるドラマ。
今までに3回ドラマ化されており、1982年版は3回目の作品です。
主演は萩原健一。
一人息子が幼少の頃に奥さんを亡くしてから、妹(伊藤蘭)に家庭の全てを任せて家族を顧みずに仕事に勤しんでいたところ、息子が難病で余命3ヶ月と宣告されてしまう。必死で家族の関係を取り戻そうとする父親。最初は頑なだったけど心を少しずつ開いてゆく息子。だが宣告された3ヶ月目が刻一刻と迫ってくる…
「自分の息子に海すら見せていなかったモーレツ社員が、それでは自分自身は海を見ていたのか?」という問いかけがテーマとなっているそう。
全11回のうち10回まで放送されて残すところあと1回になってしまいました。
第10回では、息子にとって始めてで、恐らく最後の旅になるであろう沖縄旅行の最中、初めて海の底を見て「ママに見せたかった」「僕が死んだらねえ、やっぱりああいうところに行くのかなあ。ああいうところに行けると良いんだけどなあ。きれいだし。とっても静かだし」などと、自分に迫った死を知らない息子が言うのですが、そんな息子に「お前はまだ若いんだ。もっと将来の事を考えろ」と言い、せがまれて息子の将来について語るシーンがありました。息子に死が近付いていることを悟られないように、余命幾許もない息子の将来について語り出す父親。辛いです。
Wikiを見たら、「萩原健一は演技に集中するために、撮影中スタッフが台本をめくるかすかな音さえ出ないよう、美術やカメラマンなどその場の全てのスタッフに台本を暗記させ、憶えられないスタッフには霧吹きで台本を湿らせるという徹底ぶりをみせた。」と書いてあった。
このエピソードが本当かどうか分からないけど、それくらい演技に打ち込んでたのが伝わる名演技でした。
萩原健一が若い頃カッコイイことはもちろん知ってたけど、こんなに悲しい役をしていたのを今回初めて知りました。
それから、谷川俊太郎の「生きる」が、ドラマのテーマの象徴として使われています。
超有名な詩ですが、これが改めて胸に刺さります。
ラスト1回を残して、熱く書いてしまった。
あと1回で終わってしまうので見たいような見たくないような。絶対見るけど。
君は海を見たか―Sc´enario・1982 (1982年)
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追記。
最終回まで見ました。
余計に色々考えてしまうのは、子供の頃に大変な子供達を沢山見ていたからだと思う。
何年も1年の大半を病院で過ごして、手術も出来ないまま大人になれなかったえんどう君の事を思い出す。私が5才で彼が6才のとき、4ヶ月間隣のベッドで過ごし、彼の壮絶な闘病生活を間近で見て、同じ日に退院した。その後彼はまた入院してしまったけれど。
大人になってから特に、何度も彼の事を思い出しているような気がする。
ドラマでは、ドラマとしては悲しい結末ではあったけど十分メッセージの伝わる話だったと思うし、ショーケンの父親役は胸に迫る演技でとても良かったです。
正一が青い海の絵を描けるようになり家も完成して先生にも良い報告をして、短い人生でも出来るだけの事が出来て暗くなり過ぎなかったのも良かった。
えんどう君のご両親はお元気かなあ。