「ビル・エヴァンス タイム・リメンバード」

雨の中、渋谷に「ビル・エヴァンス タイム・リメンバード」を見に行ってきました。


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苦しい。壮絶な人生を生き抜いたビル・エヴァンスのピアノがあまりにも美しくて、その裏側にある影が色濃くて重くて、苦しい。多くを語られない分、何故そうなってしまったのかと。


ワガママに自分勝手に生きてドラッグに溺れて愛した女性を追い詰めて、深く関わった人達を深く傷付けたかもしれないけど、ボロボロになりながら生み出された彼の音楽はただただ優雅に美しく、心に響きます。


ラファロが生きていたら、何か違っていただろうか、なんて思っても仕方ないことを思う。


「Peace Piece」の静寂と映像に何故か涙が出ました。


「美と真実だけを追求し他は忘れろ」という生前のビル・エヴァンスの言葉。
時間をかけた自殺、とも言われた彼の人生が終わった時の「救われた気分で幸福だった。だってビルの苦しみが終わったんだもの」という恋人の言葉。
無音のエンドクレジットの潔さ。


人柄が語られることは殆ど無かったけど、深く尊敬され、愛され、許されていました。
生のライブはもう見れなくても、生前に残された沢山の音源を聴いていける幸せはあります。音に込められた情感に、静かに耳を傾けたいと思います。
お好きな方は映画館で是非。