狂言体験。

普及公演「横浜狂言堂」@横浜能楽堂に行ってきました。


先日、「蚊相撲」という狂言を観た姉から衝撃だったと聞きまして。
「大名が太郎冠者の連れて来た新参の家来と相撲をとり、鼻を刺されて気を失うが、蚊の精とわかってうちわであおぎ、相手がふらふらするのを楽しむ。」という馬鹿馬鹿しく奇想天外な話でした。蚊って(笑)


そのあまりの馬鹿馬鹿しさと、「伝統芸能」という堅苦しい響きとか、狂言師の背筋の正しさとか、歴史の重み等が頭の中で噛み合わず、どういうものか一度観に行ってみたいと思っていました。


観に行った演目は「二千石」と「素襖落」。


「二千石」のあらすじ。
召し使いの太郎冠者が無断で旅に出たことに腹を立てた主人が太郎冠者の家へ押しかける。太郎冠者が京都見物へ行ったと詫びると、京の話を聞きたい主人は太郎冠者を許し、都の様子を尋ねる。すると太郎冠者が、都で「二千石」という歌が流行っているといって、主人に歌って聞かせる。その歌は、主人にとって家に伝わる大切な歌だった。由緒ある二千石の謡をみだりに歌った太郎冠者が主人に討たれそうになるが、太刀を振り上げる手つきが先代そっくりだと言って主人を感動させ褒美を賜り、許される。



「素襖落」のあらすじ。
急に伊勢参りに行く事にした主人は、前から約束のあった伯父へ、太郎冠者を使わせる。その際に伯父から太郎冠者が餞別をもらってしまうと伯父の家の者達へ土産を買わなければならないので、「お供は決まっていません」と言うように命じる。しかし、伯父に問いただされて、太郎冠者は自分が供に行くと言ってしまい、門出を祝う為に酒を振る舞われ、餞別に素袍まで受け取ってしまう。すっかり酔っ払って帰る太郎冠者は、あまりの上機嫌に、貰った素袍を主人の目の前に落として見つかってしまう。


こんな内容の演目を、あのテレビなどで垣間見る狂言の言い回し、立ち振舞いでやっていくんですね。日本語が難しいからすごく集中するし、しばし現世の悩みから解放されて別世界に誘われました。そして、やっぱり所作が本当に美しかった。
今のお笑いとは全く違うけど、きっちり型を付けて何百年も受け継がれ守られていると思うと凄いなと思いました。


それから演目終了後、幕が降りないので、落ちが付いた後に花道を真顔で帰っていく様子が面白かったです。楽しみになってしまいそうです(笑)


f:id:SABA:20191112063131j:plain
「横浜能楽堂」