映画「空白」みてきた。

映画「空白」みて、色々。


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いま絶賛上映中なので極力ネタバレはしませんが。


ずっと痛い。ずっと苦しくて痛くて辛くて重くて、でもそれだけでは終わらない、凄いものを見てしまいました。


本筋は、古田新太演じる漁師の充を中心に展開していき、事件の発端ともいえる松坂桃李演じるスーパーの店長さんの心の変化も丁寧に追っていくのですが、自己肯定感が低くて承認欲求の強いスーパーのおばちゃん、寺島しのぶさんが分かりやすく空回りし続けるのが怖すぎた。


実際に「正しい」とか「世間一般」を振りかざしてくる人が割と近くにいて、彼女から見ると私は世間一般から外れて好き勝手に生きてる人に見えてたみたいで攻撃の対象になってしまった事があり、思い出してモヤモヤしてしまったけど、彼女だって完全に悪人、というわけでは無かった。彼女は正しく生きて、所謂勝者になり、数年前に還暦を迎えていい加減彼女自身が落ち着いたからかだいぶ優しくなり、正義で周囲を攻撃する必要が無くなったのかもしれない。かつては冠婚葬祭以外で顔を見るのも嫌だと思ってたけど、今はそんなことは無くなった。正義感の強さは変わらないとは思うけど、それが悪いこととは言い切れない。


でも、映画の中の彼女には全然救いが無かったな。彼女が本当に偽善者としてしか描かれていなかったから仕方ないけど。最後、優しさが人に向けられていたらそこには複数の救いがあったかもしれないのに、そうはしてもらえなかった。はい残念、という感じ。そういう人に対して嫌な思いだけを残してしまった人ならこんな描き方になってしまうかも。致し方なし。


マスコミに対しても悪意を感じる作りに。
そういう部分もあるでしょうが、罪深い人もいるでしょうが、なかなかに一方的な作りになっていました。


でも充役の古田新太は吠えまくってたけど最終的には気付きに至り、ラストシーンでは泣かされました。


スーパーの店長も、あの一瞬の出会いが彼を立ち直らせてくれるんだと思う。



なるべく怒りを人に向けたくないし、軽蔑したくないし、感謝を伝えたいし、救われて欲しいと思う。人は複雑に出来ているんだということをふまえて、見えている部分だけで判断することにはなるべく慎重になりたいです。


そういえばチャンス大城さんもいきなり出てました。何度かライブを見てまして、凄まじい方です。1回だけ見た、ファルセットで歌う音楽ネタも良かったです。YouTubeのどこかにあるかも。こっそり大絶賛しておきます(笑)