1年掛かり

一番大変だった時に、事情を何も聞いてない、たまに自分の娘のことも分からなくなってしまう位の認知症のあるおじいちゃんが、突然「会社は大丈夫なのか」と聞いてきて、翌週、計画が実行された次の日に、今度はいきなり「もう会社は大丈夫なんだな」と言ってきたそう。

昨年社長が亡くなって異常事態になってから
大好きだった花だけが異常な勢いで伸びたこと。
お墓を決める時にざあっと風が吹いて思わず見上げたら、遠くに会社が見えたこと。
戻ることを決意させられた様々な偶然。
奥様の夢で「仕事が遅い」と怒ってきて、そこからの奥様の(まるで社長のような、いやそれ以上の)感動的な程の決断の早さと行動力。
デスクに2枚だけ残されていた商品券。

そして結局私が計画を実行することもせずに済んで、それまでズルズルと1年も何にも進展せずに尾を引いていたのに、爆発してからなんと10日間で片が付いた。

会社のことなんて何にも知らないはずのおじいちゃんの言葉。その翌週にはもう会社の事なんて何にも言わなかったそう。

 

1年掛かって、やっと安心して貰えたのかな……と、そういう話。